セキスイハイムのユニット工法で3階建ての賃貸併用住宅を検討中です。商品名でいうと DESIO になります。
現在、設計士の方に建物本体の設計を進めていただいており、玄関先のちょっとした庇をつけたいという要望を伝えたところ、どうにも東京都の条例、東京都建築安全条例にひっかかって大きい庇が付けられないことがわかりました。
「え、雨よけの玄関庇を付けたいだけなんだけど、付けられないの！？」
東京都など一部の自治体て制定されている「窓先空地」に関する条例
専門家でなくても建築基準法という名前そのものは聞いたことがあるかと思いますが、その建築基準法では地方公共団体による建築物への制限の附加が認められていて（第40条）、東京には東京都建築安全条例なるものがあるようです。
で、その東京都建築安全条例の「第十九条 二」に下記のように記されています。
- 第十九条
- 共同住宅の住戸若しくは住室の居住の用に供する居室のうち一以上、寄宿舎の寝室又は下宿の宿泊室は、次に定めるところによらなければならない。
- 二 次のイ又はロの窓を設けること。
- イ 道路に直接面する窓
ロ 窓先空地(通路その他の避難上有効な空地又は特別避難階段若しくは地上に通ずる幅員九十センチメートル以上の専用の屋外階段(次項において「専用屋外階段」という。)に避難上有効に連絡する下階の屋上部分で、住戸等の床面積の合計に応じて、次の表に定める幅員以上のものをいう。次項において同じ。)に直接面する窓
| 住戸等の床面積の合計 | 幅員 |
|---|---|
| 100㎡以下のもの | 1.5m |
| 100㎡を超え、300㎡以下のもの | 2m |
| 300㎡を超え、500㎡以下のもの | 3m |
| 500㎡を超えるもの | 4m |
| この表において、住戸等の床面積の合計の欄の数値は、耐火建築物にあつては、この表の数値の二倍とする。 | |
意訳（謎）すると、避難通路に通じる窓（大半は避難器具が置いてあるベランダが該当するんじゃないかな）をつけること。避難通路は、○mの幅員が必要ということみたいでして、今建てようと思っている賃貸併用住宅は「100㎡を超え、300㎡以下のもの」になるので・・・2m以上の窓先空地と、道路まで2m以上の幅員の避難通路が必要みたいです。
窓から道路までの避難通路は、空中含めて2m以内には何もないようにしないといけないらしいので、玄関に大きい庇をつけようとすると現在の設計図面上上記のポンチ絵みたいな状態にならざるを得ず、大きい庇が付けられないんですよね。。
厳しいですね。
過密なうえに狭小地の多い都市ならではの条例、といったところでしょうか。
大きい庇がつけられないので、雨よけをどうするか
希望の庇を取り付けられるように建物全体を例えば30cm縮小するか、玄関のみ外壁より30cm引き込むか。・・・でもユニット工法（構造）のデメリットである数十センチ単位での調整が効かない仕様によって、縮小案・玄関引込み案は採用できず。
※ 前回書きましたが、妻方向であれば45cm単位で調整が効くはずです。
特に、ユニットの位置・サイズはそのままに玄関部のみ引き込もうとすると、住戸の界壁と柱と玄関扉の関係の具合が悪いらしく、そもそも成立しなくなるんだそう。
なので、最後の手段的なもう１サイズ小さいユニットを使うしか方法が残されてないのですが、今度はそれだと1m以上引き込んだ上に1階から３階まで全て小さいユニットになってしまうと。。
2階より上をオーバーハングさせて、2階以上を庇とすることも難しいとのこと。（引き込む位置によってはユニット工法でも補強材を入れることでオーバーハングは可能です。）
いやー、ユニット工法しびれますね。
色々制約があることを理解してはいましたが、意外なところに制約が影響してきたのでちょっと動揺しました。
※ 間取りによります。特に今回は賃貸併用で複数住戸を成立させる必要があるためにユニット工法だと難しいという状況になっています。
※ 界壁と干渉しても？しないようにする？引込み玄関をセキスイハイムさんでは現在開発中とのことです。まだ暫く時間はかかりそうとのことで、残念ながら待てないですね。
おわり
実はちゃんとした測量はこれからになるのでどうなるかは分かりませんが、短い小さな庇であれば図面上付きそうなので、それで良しとするしかないかなぁ。
ちなみに今回把握したようなユニット工法のデメリットがあるとしても、セキスイハイムさん以外にする気は今のところありません。